第21回(20.3.1) 感染や艦船より深刻、医師不足は解消されるのか?
先月、海上自衛隊のイージス艦と漁船が衝突し、漁船の親子が行方不明になるといった痛ましい事故がありました。事故発生から防衛大臣や総理大臣への連絡のもたつきや、不適切極まりない発言、対応に防衛省や大臣に世間の批判が集まりましたが、今になってさらにいろんなことがポロポロと明るみに出てきました。答弁も二転三転、この類の事故が伝えられる度に、ああまたか思いますし、医療事故が起こったときの隠蔽やカルテの改ざんと彼らがやっていることは同じ、いや省庁ぐるみでやっているとすればそれ以上に悪質です。すぐにばれるのがわかっているのに国のトップレベルの方々がなぜそんなことをするのか理解に苦しみます。それとも悪者探しで国民の注意をそちらにそらしておいて何かを有耶無耶にしようとしているなら、逆に流石だなと思ってしまいますが・・・。しかし一瞬の気の緩みが大きな事故になってしまう典型例ですが、我々も他人事で片付けずに教訓にしたいものです。
さてこのところ感染や滅菌のコラムが続いておりますが、今回はちょっと今の時期の旬のお話でもしましょうか。学生さんはほぼ大学入試も終わり新学期にむけての準備をされているのでしょうか。大阪の公立高校はまだこれからということなので頑張ってください。私自身昔は受験戦士であったわけですが、今の時期を懐かしく思う反面、子を持つ親になって違った見方をするようになってきました。偏差値、校風、環境・・・人それぞれ思いは違うものですがなんといっても学費です。そんな中、先日新聞記事で医学部学費ランキングなるものを見つけました。医師不足が深刻な今日ですが、全国には80の大学が医学部を持っています。国公立は基本的に一県一校(以上)、プラス私立の医大、医学でその定員は各60〜100人。医師不足に対する抜本的な解決方法は医師の絶対数の確保であるわけですが来年度から順次最大395人の増員が認められたようです。そんな中毎年約7500人が医師国家試験に合格しお医者さんになっていくわけです。ところで日本のお医者さんは本当に不足しているのでしょうか?日本のお医者さんは25万人余り、1000人あたり約2人です。これはOECD (経済協力開発機構)諸国の中ではかなり下のほうです、。ちなみにアメリカ2.4人イギリス2.4人ドイツ3.4人ベルギー4人などとなっています。GDPに占める医療費の割合もかなり低めです。それに対して皆さんご存知の公共事業費は先進7カ国中突出して多く、日本の土建大国ぶりをまざまざと見せつけています。話を戻しますが医学部は今も昔も人気なわけですが、近年不況の中でさらにその人気の度合いが増し、10年前に金さえ出せば入れるいわれた底辺の医大ですら最近はそうでもなくなってきているとのことでした。その中でも学費が安いほど人気があるというのです。国立大学の場合基本的に年間50万程度の授業料は同じですが私立大学の場合は数百万から一千万とかなり開きがあります。そんな影響でか学費値下げを行う医大もあるそうです。それでも普通に考えれば庶民の払える金額ではありませんよね。ここで既に人材の選別がされるわけですがこれも定めでしょうか。因みにここ数年の国家試験の合格率の低い医学部はおしなべて授業料も高い傾向にあるようです。まあここでも経済の原理が働いていますね。はたしてお国のお偉方の考えは
「医者になるために金の出せない奴は一生懸命勉強しろよ。」なのか
「医者になるために一生件名勉強しているから金の心配はしないでいいよ。」
なのか考えてしまいます。皆さんはどう思われますか?
ところで医学部受験の図式をご存知でしょうか?東大、京大、阪大・・・等の旧七帝大は医学部の中でも最難関です。それについで都市部の医学部、そして地方大の医学部です。私立大学に関しては慶応大学の医学部はそれらと同等です。将来どうしても医師になりたい受験生は自分の学力にあった医学部を探して日本縦断行脚を敢行するわけです。ですから地方の医学部にはその地域以外の出身者は少なくないわけです。国家試験に合格すれば、つまり医者になりさえすれば目的は達成されるわけですから地元でなくてもいいわけで、自分の地元や都市圏に流出がおこるわけです。特に開業医のご子息の場合はなおさらです。ですから医師不足解消するにはただ医者の数を増やすだけでは偏在は解消されないわけで、医者が増えても小児科医や産婦人科医が増えなければだめですし、地方の医大を出ても、その地域に残らなければ意味がないのです。しかし医局制度も崩壊した今、個人個人の医師の意思を尊重するしかないわけですし特定の仕事内容や地域にしばることなどできません。教授が全権力を握り業者との癒着の温床にすらなった医局制度もなくなればなくなったで新たな問題が起こっているのが今の現状です。まあ医師の立場からすれば報酬が同じならリスクの少ない、楽な環境を選びたいというのが人情ですよね。理解は出来るのですが、やはり「医は仁術」でありますから、ある程度丁稚奉公的な要素をいれないといけないような気がします。
先日、大阪南部の病院で年俸3500万で麻酔医の募集がありましたが、羨ましいようは悲しいようなですね。地獄の沙汰も金次第、医療を受けるのも、医者になるのも・・・。 今後、医療はますますのアメリカ化が予想されますので皆さんしっかりイージスのよろいでも着ているつもりで自衛しましょう。 さしずめ医療では予防ですか。年金にしろ、医療にしろ国が助けてくれるなんて悠長なこと考えていると沈没させられてしまいますよ。