第16回(07.11.1) のこった、のこった、のこった、踏み倒し〜
まず最初にお知らせですが、前回後期高齢者医療制度のお話をしましたが、どうやら一年ほど先送りになるとの事です。ここのところ食品、ガソリンと値上げラッシュで財布にも寒い季節になっておりますが財源の問題はさておき、とりあえずはよかった?のではないでしょうか。そして日本シリーズはどちらが勝つのでしょうかね。
そんな中、先日テレビで窓口負担の不払い、俗にいう踏み倒しが横行しているというのを見ました。特に公立病院はその傾向が強く、中でも産科はずば抜けているとのことでした。歯科医院でも窓口負担の不払いや自費診療の不払いなど以前から問題になっておりました。 「今度持ってきます。」といって持ってこないようなケースです。われわれのような地域密着の開業医は多くの方がご近所の方でだんだん患者さんとも顔馴染みになっていきますのであまりそういうことはないと思いたいのですが・・・。件数はわずかですが現実問題当院でもありますし、私のしっている歯科医院でも時々聞きます。医院の場合、「一言さんお断り」というわけにはいきませんし、基本的にやってきた患者さんは診なければならないことになっています。それを逆手にとってかどうかはわかりませんがこういうことが現実に起こっているわけで、給食費の不払いやETCの強行突破も対岸の火事ではないわけです。医者のモラルの低下が叫ばれて久しいですが、患者のモラルも確実に低下しています。この先どうなるのかいささか心配です。
しかし医療費の不払いの問題はモラル云々だけではなく、実際払いたくても払えないケースの方が大きな問題なのです。イギリスで食中毒になった友人の話ですが、担ぎこまれた病院のベッドでのた打ち回っているところに医者か事務員かわからないような人がやってきて最初に言い放った言葉が「70万円払えますか?(勿論英語でですよ!)」だったそうです。民間の保険に入っていたのですぐに了承したらしいのですが、悪徳ヤミ金業者や振り込め詐欺も顔負けのお話です。日本でも国民皆保険が崩壊すればこんな日が来るかもしれませんが、別の友人の話で、「健康保険料を払ったら医者にかかる金がなくなったから病院いかれへん。」なんてのもありますから、今度は漫才でもみているようです。大阪の守口市は200万の所得に対して健康保険料が50万だそうです。これって、既に破綻していませんかね?
さて先々月でしたか、奈良で妊婦が急変したらい回しにされた挙句に死産したというショッキングな事故(事件)がありましたが、その時は体制の不備や病院側の対応の問題に非難が集中しました。しかしあとになってわかってきたことは妊婦が妊娠後期にもかかわらずかかりつけの産婦人科がなかった(医者にかかっていなかった)ということです。昔は産婆さんが子供をとりあげていたわけですし、今でもそういうお産もあることと思いますのでこれに関しては否定しません。しかしこういったケースでかかりつけ医からの情報やカルテもないままに妊婦を受け入れろといわれてた病院が二の足を踏むのはたとえ救急指定であっても理解できないでもありません。もちろんそんな理由で断ったのではないでしょうがね。そこへもってきてそういった患者さんに出産費用の踏み倒しが多いというのであれば医療機関に同情的にならざるをえないのは私のわがままでしょうか。昔、「覚醒剤やめますか?それとも人間やめますか?」というコマーシャルがありましたが、そのうち「医者にかかるのやめますか?それとも踏倒しますか?」みたいなコマーシャルがながれるかもしれませんよ。そうならないためにも戦闘機を買うのをやめて、いや少しだけ減らして、社会保障を充実させていただきたいと思います。