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今年最後のコラムになりました。振り返ってみると歯科の治療内容からすこしはなれた感じの話が多かったように思いますので今回はインプラントの話に触れたいと思います。今年のはじめにインレーブリッジのお話をしましたが、今回は一本の歯が欠損の時の修復方法について述べてみたいと思います。前歯でも奥歯でもかまいませんが、今回は何らかのかたちで一本だけ抜けた状態を想定してください。
●ブリッジ(保険適応、セラミックなど特殊なものは保険適応外)
一般的に通常これでやる場合が多いと思います。詳細は以前の分をご覧下さい。
●入れ歯(保険適応、金属床など特殊なものは保険適応外)
ブリッジを違い両隣の歯を削らずにすみます。歯茎の上に入れ歯をのっけて両隣の歯に針金のようなもので引っ掛けて固定しますがブリッジよりはるかに違和感があります。またブリッジと違い取り外して綺麗にしないとなりませんし、保険の入れ歯では引っ掛ける針金がみえるのが難点です。今ではノンクラスプデンチャ(保険適応外)といって針金を使わずに見た目や舌感もかなり改善されたものもできています。
●インプラント(保険適応外)
人工歯根などといわれます。平たく言えば「埋め歯」でしょうか?ブリッジが両隣の歯を削るのに対し、インプラントは骨を削って直接骨に打ち込むわけです。入れ歯と違ってしっかりかめるというのが一番の売りです。だんだんメジャーになりつつありますがまだまだ問題点も少なくないようです。メーカーや種類も百花繚乱といったところでしょうか。私自身インプラントは大変良いものだと思っていますし、今後再生医療が現実になるまでのかなりの間、欠損補綴における重要な役割を担うことは間違いない必要不可欠なものと思います。では何が問題なのでしょう。インプラントの内容的なことはいろんな歯科医院のホームページでご覧になれますのでここでは、問題点についてお話したいと思います。
まず技量やテクニカルの問題です。第一段階としてインプラントが骨にくっつかない、要は初期固定の失敗です。もしあなたの自慢のインプラントがくるくる回ったり、ぷかぷか上下に動いたらそれは失敗です。第二段階として埋め込みの一次オペはうまくいったもののオペ後に舌や唇に麻痺が出たり、感染を起こしたりすることがあります。また短い期間で上部構造(上物のかぶせ)が折れてくるようなケースもあります。この場合うまく修理のきくところで折れてくれればよいのですがそうでなければ打ち直しです。そして第三段階としては機能はしているものの審美的に著しく醜いものになってしまうようなケースもあります。最近身近になった、また我々にとっても術式が簡単になったインプラントも突き詰めればまだまだ難しいものなのです。
しかし実際の問題点はもっと本質からそれたところにあるように思います。先日もインプラントの講演会を聴講しに行ってまいりました。年間数百本打つ先生方の症例のお話なのですが、歯科医として駆け出しの頃はそういう話を聞いて、「すごいな。」と思うばかりでした。しかし最近は「それって無理やりインプラントにしてないか?」と突っ込みたくなるようなケースがふえてきました。それに伴ってトラブルの出るケースも増えているようです。そもそもインプラントは他に方法がないからインプラントなわけで、インプラントありきではないのです。そしてここで出てくる口説き文句が「戦略的抜歯」といったもので歯槽骨(顎の骨)が歯槽膿漏で減ってしまわないうちに、早めに抜いてインプラントを打ちましょうというものです。これ自体はおかしいことではありませんし、確かに理屈もわかるのでが・・・。インプラント自体は素晴らしい物ですが、打つ前に根っこの治療なり、歯茎の治療なり先にやることはたくさんあるはずなのです。皆さんはどう思われますか?
また「これを治療するにはもうインプラントしかない」とか「最先端のアメリカの医療では根っこの治療よりインプラント」といった詐欺的インプラントもあるとききます。「前歯は保険がきかない」とかいうイカサマトークのニューバージョンですね。そんなことを言われたら、仮にそれが事実でもいったんやめた方が無難でしょう。急いでインプラントを打たなくても死んだりすることはありません。講演されていた先生もインプラントは保険の不足分を補うためのものではないですよとおっしゃっておられました。それにアメリカには日本が誇る破綻しかけ?の国民皆保険制度もありませんから同次元で話をするのはちと乱暴です。歯科が冬の時代と言われて久しいですが、インプラントはわれわれにとって決して打ち出の小槌ではないのです。難症例にインプラントでで立ち向かうのは素晴らしいことですが、できればインプラントを打たなくてもいいような歯科医療を提供すべく、日々精進したいと思います。と格好のいい事をいって今年最後のコラムをしめたいと思います。
今年もつたないコラムのご講読、まことに有難うございました。
来年も頑張って続けていきたいと思いますのでよろしくお願いします。
一足早いですが来年早々にまたお目にかかりましょう。
小島よしお、じゃなかった、よいおとしを。
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